vol7 大学3年生春
2006年7月18日 連載vol7の概要
芝居を本格的に始めた彼。プロの劇団に出入りするようになる。
第七話:嵐の前の静けさ
彼はまず、大学の先輩にあたるプロ劇団の戸をたたいた。彼が目指していたのは役者ではなく、裏方。本当にこのころの彼は純粋で、「こんなに面白い存在(演劇)をもっとたくさんの人に知ってもらいたい」という熱い思いが彼を突き動かしていた。
先輩劇団から、ある劇団を紹介してもらい、そこに押しかけ女房的に弟子入りした彼。彼の仕事は主に雑用全般。
大学の授業はほとんどほったらかしに、芝居とバイトに専念していた。
バイトの話をしていなかったように思う。
彼は実家と駅の間にあるフランス料理屋でバイトをしていた。その料理屋の目の前にあるコンビニでバイトをするつもりで面接したのだが、あまり感触が良くなく、帰りがけに見たフランス料理屋の求人貼り紙。面接は夜、営業が終わった後に行われた。
オーナー「君はお酒は飲めるのか」
彼「たしなむ程度です・・・」
オーナー「ただ料理を出すだけではない。お酒を提案したりするから、お酒の味も覚えなさい」
その場で採用が決まり、数日後から働き出した。芝居にも理解のあるオーナーで、本番前はまとまった休みを取ることも許してもらえた。
後日、コンビニから「いつから入れる?」との電話連絡があったが、かなり「いまさら」であったことを付け加えておく。
さて、話は芝居に戻る。演劇部を辞めた直後のクリスマスに、彼は弟子入りした劇団の芝居を観ていた。正確にはその劇団をより知るために観たと言った方がいいかもしれない。泣いた。2度同じ芝居を観て、2回ともないた。ここしかないと思った。
年が明け、本格的に活動を開始した。春には次の公演が迫っていた。彼の演劇部での知識は半分は役に立ち、半分は邪魔であった。間違った知識がいかに役にたたないかを思い知らされた。
それでも彼はやる気とはったりだけは人一倍であったと思う。春の公演に先立ち、他の劇団の手伝いに武者修行(笑)に出たり細かな雑用は進んでやっていた。そして春の公演では、劇団の受付に入り、無事公演の成功に一役買った、といえば大げさではあるが、彼の演劇人生が幕開けした。
次回:失われた5月
芝居を本格的に始めた彼。プロの劇団に出入りするようになる。
第七話:嵐の前の静けさ
彼はまず、大学の先輩にあたるプロ劇団の戸をたたいた。彼が目指していたのは役者ではなく、裏方。本当にこのころの彼は純粋で、「こんなに面白い存在(演劇)をもっとたくさんの人に知ってもらいたい」という熱い思いが彼を突き動かしていた。
先輩劇団から、ある劇団を紹介してもらい、そこに押しかけ女房的に弟子入りした彼。彼の仕事は主に雑用全般。
大学の授業はほとんどほったらかしに、芝居とバイトに専念していた。
バイトの話をしていなかったように思う。
彼は実家と駅の間にあるフランス料理屋でバイトをしていた。その料理屋の目の前にあるコンビニでバイトをするつもりで面接したのだが、あまり感触が良くなく、帰りがけに見たフランス料理屋の求人貼り紙。面接は夜、営業が終わった後に行われた。
オーナー「君はお酒は飲めるのか」
彼「たしなむ程度です・・・」
オーナー「ただ料理を出すだけではない。お酒を提案したりするから、お酒の味も覚えなさい」
その場で採用が決まり、数日後から働き出した。芝居にも理解のあるオーナーで、本番前はまとまった休みを取ることも許してもらえた。
後日、コンビニから「いつから入れる?」との電話連絡があったが、かなり「いまさら」であったことを付け加えておく。
さて、話は芝居に戻る。演劇部を辞めた直後のクリスマスに、彼は弟子入りした劇団の芝居を観ていた。正確にはその劇団をより知るために観たと言った方がいいかもしれない。泣いた。2度同じ芝居を観て、2回ともないた。ここしかないと思った。
年が明け、本格的に活動を開始した。春には次の公演が迫っていた。彼の演劇部での知識は半分は役に立ち、半分は邪魔であった。間違った知識がいかに役にたたないかを思い知らされた。
それでも彼はやる気とはったりだけは人一倍であったと思う。春の公演に先立ち、他の劇団の手伝いに武者修行(笑)に出たり細かな雑用は進んでやっていた。そして春の公演では、劇団の受付に入り、無事公演の成功に一役買った、といえば大げさではあるが、彼の演劇人生が幕開けした。
次回:失われた5月
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